オークション
☆☆☆

数日間家に籠って作業をしていたため、外で走る事が新鮮だった。


心はウキウキと弾け、足を前に出すたびに笑顔になる。


カメラはスタート地点からずっとあたしを捉えていて、それを意識して走ると更にスピードが上がった。


力のついた両腕は走る事にもプラスの効果をもたらしているようで、腕のふりがいつもと違う事に気が付いた。


途中から腕を振るのがしんどくなるようなこともなく、あたしは1位でゴールテープを切った。


マンマルマラソンに比べればどうってことない大会だったけれど、あたしの地元だという事で随分と盛り上がっている。


「藍那、やったね！！」


そんな声が聞こえて来て視線を移動させると、ゴール付近にエレナが立っている事に気が付いた。


「エレナ！」


あたしは慌ててエレナに駆け寄る。


「今日は学校でしょ？　どうしたの？」


「えへへ。藍那の事が気になってサボってきちゃった」


そう言ってペロッと舌をだすエレナ。
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