オークション
「藍那がやってることは間違ってる」


「間違ってる? どこが?」


売りたい人がいて、買いたい人がいる。


あたしは自分がほしいと思ったものを買ったまでだ。


「藍那、あのオークション会場を見たでしょう? どう考えても異常だよ!」


そう。


確かにエレナの言う通りだ。


あのオークション会場は異常だ。


でも、凡人には理解できない才能が沢山集まる場所だ。


一般的な人間はとびぬけた才能を持っていない。


だから一般人止まりなんだ。


「あたしは普通じゃない。エレナも見ててわかるでしょ? 走ってもトップ、彫刻を作ってもすぐに人気に火が付く。普通じゃできない事をしてるの!」


「それは藍那の才能じゃないじゃない!」


「あたしの才能だよ……。才能を購入しても努力が必要なんだよ! 頑張らなきゃその才能は育たないんだよ!」


「人よりもずっと楽をしてるくせに……」


エレナがあたしをさげすむように呟いた。


どうして?


どうして理解してくれないんだろう。
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