オークション
こんなにも簡単に才能を手に入れて、少しの努力で注目される。


オークションに参加すればどんな夢でも叶える事ができる。


ずっと夢を追っていた人からすれば、人々を見返す事ができるチャンスでもあるんだ。


これほど素晴らしい話は他にはない。


「エレナはわかってない……」


あたしは小さく呟いた。


「わかってないのは藍那だよ」


「あたしに指図しないで!」


あたしはキッとエレナを睨み付けた。


すでに何億というお金があたしのために動いているんだ。


世界を動かす事があたしにはできる。


凡人で何もできないエレナとは違うんだ。


「あたしたちは、もう生きていく世界が違うんだよ」


あたしはエレナにそう言うと、背中を向けて歩き出したのだった

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