オークション
それはエレナも同じだったようで、ジッとモニターを見つめている。


そして、ついに……。


「お待たせいたしました! 準備が整ったようです!!」


ピエロがそう言い、歓声を仰ぐ。


ピエロに合わせて会場内では拍手の音頭が起こり、妙な一体感を生み出していた。


その瞬間。


ピエロがスタッフから何かを受け取った。


それは2人の腕に付けられている機械と同じ大きさをしている金属の板のようなもので、先だけ鋭利な刃物のようになっているのがわかった。


一瞬にしてあたしの脳裏にギロチンという言葉が浮かんだ。


まさに、首を切り落とすそれに似た道具だったのだ。


同じ道具をスタッフの1人が手に持ち、五良野正子の隣に立った。


そしてピエロは藤吉さんの隣に。


腕に付けられている機械には刃物が通るだけの幅があり、2人はそれに先端を差し込んだ。


後は一気に下へ下ろせば……。


まさか。


そんなことないよね?


この状況下でもあたしはぼんやりとそんな事を思っていた。


人の腕を切断するなんて、法律に違反している。
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