オークション
エレナが放課後の校舎裏とか、学校付近の公園で告白されていたと言う噂話を何度か聞いた事があった。


けれどそれらを本人の口から直接聞いた事はなく、噂なのか本当なのかわからずにいた。


でも、今のエレナの反応だとただの噂だったのかもしれないと感じた。


「この人が好き！！　って言う人がいない」


エレナは少し寂しそうに眉を下げてそう言った。


「でも、エレナならすぐに彼氏できるでしょ」


そう言ってから、しまったと思って口を閉じた。


嫌味に聞こえてしまったかもしれない。


全然そんなつもりはなかったのだけれど、エレナの容姿で彼氏がいないというのが普段から不思議だったため、思わず口走ってしまった。


しかしエレナは嫌な顔１つ浮かべず、


「できるよ」


と、即答した。


その返事にあたしは思わず笑ってしまった。


「だけど、あたしが好きだと思える人とじゃないと、付き合えないから」


エレナはそう言い切った。


案外、噂は本当だったのかもしれない。


エレナが断り続けて彼氏がいないだけかもしれない。


いや、きっとそうなんだろう。


エレナは自分の気持ちにも真っ直ぐな子だ。
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