オークション
怯える夜
目の前で人が死んだ。
拳銃で殺された。
その事実が重たくのしかかり、外へ出た後もあたしたちは言葉を交わさなかった。
退屈しのぎで行ったオークション会場でまさかあんなことが起こるなんて……。
こんな事になるなら、最初から行くべきじゃなかった。
近いからと言ってわけのわからないオークションに参加なんて、しなければよかった。
夕日を見るとオレンジ色の蛍光灯の下で血まみれになる藤吉さんを思い出した。
「ごめん」
あたしはエレナにそう言い、近くのコンビニに駆け込んだ。
そのままトイレに向かい、吐く。
会場を出てから何度も吐いたから、もう胃液しか出てこなかった。
それでも脳裏にこびりついた映像があたしの胃をむかつかせる。
それはエレナも同じで、何度も休憩をしながら歩いていた。
「平気?」
トイレから出たあたしに青い顔をしたままのエレナが聞く。
あたしは「うん」と返事をして、また歩き出した。
家までが途方もなく遠い。
それでもあたしたちは互いの手だけは絶対に離すことはなかったのだった。
拳銃で殺された。
その事実が重たくのしかかり、外へ出た後もあたしたちは言葉を交わさなかった。
退屈しのぎで行ったオークション会場でまさかあんなことが起こるなんて……。
こんな事になるなら、最初から行くべきじゃなかった。
近いからと言ってわけのわからないオークションに参加なんて、しなければよかった。
夕日を見るとオレンジ色の蛍光灯の下で血まみれになる藤吉さんを思い出した。
「ごめん」
あたしはエレナにそう言い、近くのコンビニに駆け込んだ。
そのままトイレに向かい、吐く。
会場を出てから何度も吐いたから、もう胃液しか出てこなかった。
それでも脳裏にこびりついた映像があたしの胃をむかつかせる。
それはエレナも同じで、何度も休憩をしながら歩いていた。
「平気?」
トイレから出たあたしに青い顔をしたままのエレナが聞く。
あたしは「うん」と返事をして、また歩き出した。
家までが途方もなく遠い。
それでもあたしたちは互いの手だけは絶対に離すことはなかったのだった。