オークション
オークション
そして昼休み。


あたしとエレナ、そして藤吉さんは誰も来ない屋上へと向かった。


屋上の灰色のコンクリートは、数日前の台風でゴミや葉っぱが散乱していた。


ここは風の通り道になるらしく、いろんなものが風に乗ってやって来る。


あたしたちは葉っぱをかき分けて円になって座った。


お弁当を取り出すが、食べ物の臭いだけで胃はキュッと収縮して食欲がなくなる。


仕方なく、あたしとエレナはジュースだけ飲むことにした。


「2人とも、食べないの？」


藤吉さんは首を傾げながら自分のお弁当に手を伸ばす。


その手はシワが目立ち、どう見ても10代の手ではない。


「食欲がないの。昨日あんなものを見たから」


あたしがそう言うと藤吉さんは「そうなんだ。2人ともデリケートなんだね」と、何事もなかったかのように食事を続けた。


あたしとエレナは仕方なく藤吉さんがご飯を食べ終わるまで待つことになった。


オークションで手首を失った藤吉さんは一番元気そうだ。
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