オークション
「いいことを教えてあげようか」


藤吉さんは笑みをたたえたままそう言った。


「いいこと？」


あたしは聞き返す。


「今年になってアイドルでブレイクした石澤祭先輩。彼女もオークションの常連客だったのよ」


その言葉にあたしは思考回路が止まった。


つい最近もテレビで見た石澤先輩の姿を思い出す。


ダイエットをして綺麗になって、沢山のテレビに引っ張りだこで……。


「そんな嘘まで……！」


エレナが言う。


「待って」


あたしはそれを止めた。


石澤先輩は確かに太っていた。


服を着ても体型が隠す事ができないくらいになっていて、それでも顔が可愛かったから学校内でもアイドル的存在でいられたのだ。


「石澤先輩が買ったのってもしかして……」


「引退表明をしたモデルの体を」


やっぱり！！


石澤先輩が才能を買うとしたら、その体型にちなんだことだと思っていた。


「石澤先輩は自力で痩せたんじゃないの？」


それでもエレナは食い下がる。
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