神恋~水神様に恋をした~
それは、妖怪にとってはとても美味で逃すのは惜しいくらいで。
水は遠い昔から清く、そして聖なる物だと崇められていた。
だから、水の匂いが強い私は妖怪から狙われやすく家族皆から守られていた。
そんな家族達は、私を狙う妖怪達に“守るため”にこう言った。
『まだこの子は幼い』
『食すのはせめて今日から7年後にしてほしい』
『その代わり、我らの身を捧げます』
私何かのために、自身の身を捧げた家族たち。
妖怪とはとても残酷で遠慮と言うものを知らない。
だから、大切な私の家族は妖怪達によって、死んでいってしまった。
私は一人ぼっち。
悲しかった記憶はいつになっても消えない。
毎朝、幼いあの頃の夢を見て起きては涙を流している自分に気付く。
だけど、今日はなぜか違った。
あの頃の嫌な夢は見なかった。
でも、あれ?
――私、何の夢を見てたんだろう?