神恋~水神様に恋をした~
眩しさを感じ目をあけると、身なりもきちんと整った白が珍しく窓から空を眺めていた。
髪の毛が少し濡れていると言う事はお風呂に入ったと言う証拠。
昨日の白からは想像も出来ない冷淡っぷりだ。
私が起きたことにすら気付いていない彼は空を眺めているのではなく、ボーッとしているのだと分かった。
「あの、おはよう。」
やっと私に気付く。
私を見つめると言う事は、やっぱりあれを目の当たりにしたか…。
「お前、昨日、」
「いや、気にするな。」と私の頭に手を置いて下に下りて行ってしまった。
気にするなと言われても、昨日からずっと気になりっぱなしですが。
(何て絶対言えない)
そう言えば今日は、朝からミサキさんに会う予定何だった。
黒ちゃんを頭に乗せ、続いて私も階下へと下りる。
「どこかへ行くのか?」
「うん!ミサキさんに会いに行くの!
黒ちゃんもいるし、白も来る?」
(…なんちゃって)
「あぁ。」
まさかの想像と違う返答をしてきた白に戸惑いを隠せない自分。
人数多くなっちゃうけど、お家に遊びに行くだけだから大丈夫だよね?
◇◇◇
「びゃ、白様…!?」
「お久し振りですねぇ。」
お、驚いてらっしゃる。
やっぱり白には皆敬語だよね。
上級だから、敬う気持ちが生じるのか。
唯一、白にため口なのは水湖様は当たり前だけど、黒狐くらいかなぁ。
「昨日は雪が世話になった。」
「い、いえ!とんでもございません!」
白でもお礼って出来たんだ。無口なイメージだからあんまりお礼言わないかと思えば。
居間に通され無言で座るミサキさんと私と、そして白。
鈴さんは黒ちゃんと遊んでるし…!!
(何だろう、とても気まずい…)
こんなはずじゃ無かったのに。