神恋~水神様に恋をした~


「あれれー?やっぱりそうだ。」


後ろを振り向くとそこには、黒い尻尾に黒い耳。

九尾の狐だけど、白くない事から闇の者だと悟った。

…どこかで、見たことがある。


「雪ちゃん大きくなったね?水の甘い香りが強くなってる」


ニタリと笑うあの笑みは1度、どこかで見たことがある。


「だ、誰?」

「覚えてないの?怖くないからおいでよ。」



両手を私に差し出す彼の心は読み取れない。

妖怪が見えるからと言っても、お話したのは湖の時に居たあの人くらいで。

他は、どんなに悪い妖怪にちょっかいを出されても私はずっと我慢していた。


それに、私はこんな怖いと思う妖怪はこの人が初めてだ。


今までお屋敷で関わってきた者は、優しい妖怪ばかりだったし。




「ほら、おいでよ。雪ちゃん。」




あれ、懐かしい声だ。

そう思った瞬間、私の足は勝手に動いていて。
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