神恋~水神様に恋をした~
体が楽になった。心地良くて懐かしい。
ほのかに香るあの甘い香りが私の体を和らげた。
「こいつは、悪いが渡せない。」
「人間に執着するなんて珍しいね?」
「ただの依頼だ。勘違いをするな。」
「ふーん、しょうがないけどまた今度。」
そう言った黒狐は風のようにフッと姿を消してしまった。
助かったけど、一体誰が私を助けて…、
「通るなと忠告したはずだ。」
(え…、)
どこか聞き覚えのある声に胸がトクンと音をたてた。
見上げると、そこには懐かしい姿が。
そっか、今日見た夢はこの人だ。
幼い頃にこの人とお話をした記憶だ。