神恋~水神様に恋をした~


黒狐の腕に包まれる私。
痛いくらいに抱き締めるその腕からは「もう離さない」と言うような気持ちが伝わってくる。


抱き締められる腕が緩められる。
私の居るところは、黒狐の住み処だった。


私を見つめる黒狐には、なぜか躊躇いの気持ちが感じられる。


なぜ、私を食べないの?
なぜ、そんなに躊躇するの?


「ねぇ、どうせ死ぬなら教えてよ。
あなたの過去。何で闇の者になっちゃったの?」


「知りたい?」


コクりと頷くと、黒狐はあっさり教えてくれた。


前はあんなに嫌がってたのに。
私が死ねば、話した事も無かった事に出来るからだろうけど。

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