神恋~水神様に恋をした~


「俺が昔、白狐だった事は知ってるでしょ?

白狐だった頃の俺は、ある家の護神だった。

そこに住んでいた女はね、俺への信仰が厚くて、そのお礼に俺は彼女の仕事を成功させてあげたんだ。


だけど、ある時仕事が滑ったんだ。

自分のせいなのに、あの人は俺のせいにした。


嫌いだって、出てけって言われてさ。

酷いよね、せっかくお礼してあげたのに、自分の失敗を護神のせいにするなんて。


もちろん出てってやったよ、あんな家。

そしたらみるみる崩壊してって。
泣いてたよ、その人。

だけどね、俺が味わったのはそんなもんじゃない。


もっと、辛くて悲しいもんさ。
その気持ちが、いつしか恨みと憎しみに変わってて、気付いたら闇の者になってたわけ。」

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