神恋~水神様に恋をした~
「お前を守る必要があると以前に言ったな。」
あぁ、幼い頃の。あの記憶。
家族は助けられないって、身を捧げてまでも私を守るって。
「そう言う事だ。」
茫然とする私は悲しいのかすらよく分からない。ただ分かるのは今まで無理矢理塞いでいた心の穴が砕けてしまったと言う事。
穴は埋めることが出来ないような気がしてしまった。
(…やっぱり私は一人ぼっちだ…)
「一人ではない。」
「え?」
今、心の声…聞かれた?
「言っただろう?俺は昔からお前を見てきたと。」
私の頭にポンと乗せる白の手のひらは昔と変わらない冷たい手なのにどこか温かかった。
その言葉に私はゆっくりと頷いた。