神恋~水神様に恋をした~
■第2章
外の空気はやはり美味しい。
町行く妖怪たちは、私を不思議そうに見てはあの時のように深々とお辞儀をする。
優しそうな妖怪に私は尋ねてみた。
「なぜ、私にお辞儀するの?」
「貴女は、水湖様や白様と同じ匂いが致します故、このようにして皆お辞儀をするのです。」
あぁ、つまり、強い妖怪と同じ匂いがする=私も上級だと思われてるんだ。
「私はそんなたいした者じゃありません。」
「どうでしょう。」
試すようにクスッと笑ったその妖怪はペコリと頭を下げて去ってしまった。
同じ匂いがしたとしても、私は彼らのように強くはない。
フラフラと歩いていて、たどり着いたのは少し薄暗い森。
少しだけゾクッとした。
怖いけど、私のなかの好奇心が「入ってしまえ」と囁く。
足を踏み入れた私は、森の奥へ奥へと進んで行った。