神恋~水神様に恋をした~


「なぜ忠告を守れない?」

「だ、だって好奇心が…、」


屋敷に戻ってから、かれこれ20分。
白に冷静にお説教される私は今、心が折れそうです。

ため息をもらした彼は、私に覆い被さると今までにないくらい冷たい声で私に告げた。


「お前は、妖(あやかし)と言う者がどれ程恐ろしいのか理解していない。

あの森は危険だと分かりながらも足を踏み入れるとは、本当のバカのようだ。

俺は少々、腹が立っている。
夢のなかでしっかり反省しろ。」


その言葉を聞いた瞬間、別に眠いわけでもないのに私は強制的に夢の中へ落ちていった。


――……


暗い、まるで幽霊でも出てきそうな雰囲気だ。

地面は草なのか、葉っぱを踏む音のようなものが聞こえる。

……暗いのは怖い。


だって、家族食べられてしまったあの日も暗い夜だったから。


「助けて…、」


一人寂しくポツリと座る私には誰の助けも来ない。

声はむなしく、暗闇に消えてしまう。


「助けて白。」


白も来ない。


「一人じゃないって言ったじゃん…、」


あぁ、もうダメだ。今までずっと我慢していたものが全部弾けた。涙に変わった。


「ねぇ、白からもう離れないから助けて、ここから出してよ、お願いだから一人にしないで…!!」


声とは言えない私の心からの叫びは、ちゃんと届いたんだろうか。


「誓うか?」


「びゃく…、」


「離れないと誓うか?」


「離れません…。」


その言葉を聞いた白は、私を抱き上げると上へ飛んだ。



……――


目を覚ますと涙で濡れた私と、窓に寄りかかって座る白の姿があった。

……白が見せた、夢。


「反省は出来たようだな。」


コクりと頷く私は、夢でとんでもなく恥ずかしい本音を叫んだような。


「なら良い、行くぞ。」


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