神恋~水神様に恋をした~
「今度会うときは、闇の世界へお連れするよ。もう手加減はなしだからね。」
「君を少し甘やかし過ぎた。」と風のように去って行く黒狐の声はどこか虚しかった。
私から推測するにあの記憶の一部は、黒狐をかつて祀っていた主の声だ。
確信何てないのに、そう思った。
いつ帰ってきたのか分からないけれど、気付けば後ろに白がいた。
「また黒狐がちょっかいを出しに来たか。」
今の彼は怒ってる様子では無さそうだ。
怒っていると言うより、どこにも行かなかった私を見て安心しているようだった。
「あのね白、黒狐がね昔は俺も上級妖怪だったって。」
その言葉に彼はなにも言わない。
定位置になっている、窓の手すりは彼の椅子のようだ。
何も言わず、寄りかかる彼は何かを知っているのだろうか。
「あれこれ詮索するのは寄せ。」
(ば、バレてる…。)
きっと白はその理由を知ってる。
言わない理由は分からないけど、言ってくれるまで気長に待とうと思う。
待つよりも先に、私が勝手に知ってしまうかもしれないけどね。
とりあえず、黒狐がなぜ優しい感じがしたのかと言う理由は明らかになった。
(今度会う時は、闇の世界…か。)