神恋~水神様に恋をした~
『水の匂いが強いな。』
『お水?』
前に、叔父さん言ってたっけ?
私は神の子だから大切なんだよって。
お水の香りが強いから大切だからこそ危険だって。
お水の香りってどんな匂いだろう?
この妖怪さんは、何だかほんのり甘い香りがする。
『妖怪さんは、お水の神様だね。』
すっと、頭に浮かんだわけでもなく勝手に口が動いた。
彼は驚きもせず、またお空を眺めた。
『お前は、水谷 雪(みずたに ゆき)』
どうして私の名前を知っているんだろう?
『お前はもうじき死ぬんだな。』
え?
『怖いか?生きたいか?』
小さい頃の私は死など考えた事がなかった。
だけど、死はとても怖いものだと何となく感じてはいた。
『心配はない。お前の家族は身を捧げてまで、お前を守る。』
『どうして?』
『そこまでする必要があるからだ。』
必要?
私は死ぬ運命なのに、家族皆が私を助けるの?
そうしたら、私は一人になっちゃうの?
『一人にはならない。7年後まで待てばすべてが分かる事だろう。』