神恋~水神様に恋をした~
小鬼くんたちは何でも出来てしまう家事の完璧な妖怪だけど、心はまだ全然子供のようで、
「雪ちゃん抱っこ!」
梅も取り終え、美味しい梅干しや砂糖梅、梅酒などが出来るように丁寧に漬けた私たちは、
水湖様のお庭で遊んでいた。
「いたっ…!」
「赤鬼くん大丈夫?!」
はしゃぎ過ぎて転んでしまった赤鬼くんの膝は擦りむいてしまっていて少し痛そうだった。
痛いと感じているのか目がうるうるしている。
「赤鬼くん凄いな~!痛いの我慢出来たら格好いいな~!!」
何とかあやしてみる。
私の一言で涙をグッと頑張って堪えている赤鬼くんは可愛らしい。
少し痛そうにする赤鬼くんがやはり心配だった。
「赤くん頑張れ、僕いるよ!」
「赤くん、赤くん」と心配する青鬼くんは彼の事が本当に好きなんだろうな。
ふと、赤鬼くんの膝に手を近付けると痛そうにする彼の顔は和らいでいった。
(まさか…、)
「え、治った…、」
治ってしまっていた。
私があの傷を治したの?でもどうやって?
ただ手を近付けただけなのに。
「雪は、水の力を持ってるからね。
古来から水は清いもの以外に身体を癒す力があるとされてきたんだよ。
だから赤鬼の傷は水の力で癒えたわけ。」
いつの間にか縁側に腰かけていた水湖様はそんな事を言った。