神恋~水神様に恋をした~


玄関には、白が立っていて。

(戻ってくるの遅かったかな…、)

じっと見つめる彼は、


「うまかったぞ。上出来だ。」


いきなりそう言って私の頭にポンと手を乗せた。

褒められたことが初めてで、ドキドキして嬉しすぎて、良い意味で返す言葉が見つからない。


(食べて…くれたんだ。)


「随分と帰りが遅かったな。」

「うん、桜のお爺さんといた。」


私の言葉を聞いて、白は歩みを止める。
なにかを考えている様子だった。


「雪、妖界(こちら)の主である妖怪に“お爺さん”とは何だ。」


「え?だってお爺さんだったもん。」


額に手をあてため息をもらす彼。
私はあのお爺さんに何かしてしまったんだろうか。


「あれはお爺さんではない。時桜と言う時を操る立派な上級妖怪だ。

この世界を作り上げた、主であるぞ。」


え、そんな凄い人にお爺さんとか言っちゃったって事?

でも怒ってなかったし、それよりも何だか弱ってたし。



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