神恋~水神様に恋をした~
夜中、白はお風呂に入りにどこかへ行ってしまった。
屋敷には白がいるとはいえ、広々とし過ぎている分、傍にいないと何だか不安になってしまう。
(今日も1日ありがとう。)
魔除けの簪を机にそっと置く。
寝間着浴衣に着替え終えた私は、布団を敷く準備をしていた。
「もし、ここを開けてはくれませぬか。」
女の人?
こんな時間にどうしたんだろう。
この時の私は、恐怖心や警戒心だと1つもなかった。
ただ、急いでいる様子だったから、体調不良か何かかなと思っていた。
「どうかしましたか?」
声の主に呼び掛けながら、重い扉を開くと、
「ん?!」
女じゃない?!
声を変えていただけだったの?!
一瞬にして、私が身動きを取れないようにした見知らぬ妖怪は、私を雑に抱えると
とある川へと足を運んだ。
近くにあるのは、洞窟のような…
大きな洞窟に入り込む奴は、私をやっと地へ下ろしてくれた。
「ちょっと何なの…?!」
「黙れ小娘。持ってきてやったぞ大蛇。」
おろ、ち…?
私の後ろから、何かが這うような音がどんどんこちらへ近付いてくる。