神恋~水神様に恋をした~
大蛇の背中に傷を付けたのは、本当に数人の子供たち。
器の大きい大蛇は、そんな事はずっと前から許していた。
だけど、暴言をはかれた事が何よりの原因だった。
人間が、好きな人に酷いことを言われて傷付くのと同じように、
大蛇は、好きな人間たちに酷いことを言われて悲しんでいた。
悲しくても人間たちに会いたかった大蛇は、傷があるから動くことも出来ない。
そうする内に、私を食せば傷が癒えると言う嘘の噂を聞きつけ私を狙ったと言う事だった。
何も言わずにただ聞いてるだけの白は未だに冷酷な目で大蛇を見下ろしていた。
「な、何をする。」
大蛇の背中に私は手を置いた。
どういう風に傷を癒せば良いのか分からない。
ただ、治したいという強い意志があれば治せるのではないかと何となく悟った。
「雪、何をしている。さっさと帰るぞ。」
白の言葉には応じない。こんなにも心優しい大蛇を見捨てられないと思った。
助けたいと思った。
手を置いて数秒後、凄い光を放ったと同時に何だか目眩がした。
大蛇の傷を見て思ったけど、今まで良く喋れてたなと感心してしまうくらい致命傷だった。
だから、体力の消耗がとても早い。
(苦しい…、)
「ゆき!!!」