神恋~水神様に恋をした~
『お兄たんは雪の家族助けられないの?』
『さぁな。』
私はあの時、家族が死ぬと聞かされて、初めてあの妖怪さんの前で泣いた。
そうしたら、妖怪さんが初めて木から降りてきて、優しく頭を撫でなでしてくれた。
その手はとても冷たくて、だけど温かい。
『お前にこの話は早すぎたのかも知れない。だが、知って損はない。』
『お兄たんは、私が一人になったら一緒にいてくれないの?』
心地良い風が吹く。
綺麗な白銀の長い髪が揺れる。
風とともに、甘い香りがたくさん。
『俺は、ずっと昔からお前のそばにいる。』
初めて、あんな優しい笑顔を見た。
涙が止まった。
『言っただろう?お前は一人ではない。』
……―――
…――