神恋~水神様に恋をした~
この一連を見て思ったのが、ツクヨさんとこの男の人は恋に落ちているんだと分かった。
すると、温かな場面から急に炎の海の場面へと移り変わる。
『熱い、熱い、熱い…!!』
焼けているのは、ツクヨさんの住んでいる森だった。
森に響く、人間の声。
『妖怪はあそこにいるぞ!』
『火を放て!!』
『呪われるぞ!早く殺せ!』
物凄く熱い…苦しい…。
ツクヨさんは、どうなってしまうの…?
『熱い!助けて――!!』
男の人の名前を呼んでいる。
人間たちの中に男の人の姿があった。
助けてなどくれなかった。
『たばかったな…!!』
※たばかる:騙す
怒りに満ちているツクヨさんは、強い恨みを抱いている様子だった。
以前に水湖様が言っていた、強い憎みや恨みは邪悪だと。
『忘れてくれるなよ…!!
人間ごときが私を殺めるなど…!!』
変わり果てた姿のツクヨさんは、自身の大きな翼でどこかへ飛んで行ってしまった。
あぁ、まだ熱い…。焼けるように全身が熱い…。
……―――
「雪、しっかりしろ。」
目を覚ますと、そこは炎に包まれた森ではなく白の部屋だった。
(怖い夢だった…、)
汗が凄い、体も顔も汗で濡れていた。
まだ、あの夢で感じた炎の熱さが残っていた。
「うなされていたな。」
うなされていた、か。
確かにあの時、すごく熱くて、焼けるように全身が痛くて。
ツクヨさんの痛みが伝わってきた。
「じっとしていろ。」
「…え?」
「そうすれば、すぐに終わらせてやる。」
そう言った白は私の着ている寝間着浴衣を脱がしていく。
(ちょ…な、何してるの?!)
風邪のせいで思うように体が動かない私は抵抗する気力すらない。
やだ、こんな格好恥ずかしい。
恥ずかしさで顔が赤くなる私とは反対に白は何も気にしてなどいない様子だった。
寝間着浴衣を脱がし終わると、私を抱き起こす。
「な、なな、何して、」
「少し黙っていろ。」
それから白は何も言わずに、水で濡れたタオルで私の体を拭く。
そっか、汗で濡れてる体を拭いてくれてるのか。
予告もなしにあんな事されると、ちょっとそう言う想像しちゃうじゃんね。