神恋~水神様に恋をした~



「私ね、変な夢を見た。」


黙々と私の体を拭く白は無感情な上に無関心だ。

だけど、私は喋り続ける。


「ツクヨって言う蝶の夢を見た。

人間に騙されちゃって殺されそうになっちゃって。

何だかとっても怒ってた。」


「そいつは、今では闇の住人だ。強い恨みから出来た邪悪な者だ。」


やっぱり実際に存在するんだ。
何でこんな夢を見たのか分からない。

だけど、少しだけ悲しかったのは人間に騙されて闇の者へなってしまった事。


「深く入り込むな。持っていかれるぞ。」


白が言ってる意味は、多分こうだ。
その妖怪に同情し過ぎると、その気持ちが本人へ伝ってしまい闇へ引きずり込もうとやって来てしまうという事。


この世界は、闇と明の世界が一緒になってしまっているから、どこにどういう者が住んでいるのか分からない。


そう言う面では危険だけれど、皆、どこが危険でどこが安全かなどは感じている。



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