神恋~水神様に恋をした~
(お手洗い…行きたい…、)
白が今傍に居ないのは寂しいけれど、私だってもう高校生だしお手洗いくらい一人で行けるもんね。
重い体を起こして立ち上がる。
歩くのが少し辛くても、朝よりはマシな体になっていた。
お手洗いは階下の一番隅にあるから、夜は少しだけ怖かったりもする。
(まだ明るい内で良かった~…。)
ドアを開けて入ろうとしたけれど、なぜか体が動かない。
理由はきっと、
「見つけたぞ、神の子」
妖怪にしがみつかれているからだ。
どこかで見たことがある顔と声。
それはまさしく、夢で見たツクヨさんだった。
こんなにも、変わり果てたツクヨさんは今ではもう化け物としか言いようがない。
「白には悪いが、こいつは貰うぞ。」
私の口を押さえ、羽交い締めにしたツクヨさんはあの大きな翼で空を飛んだ。
彼女の住み処はやはり森のようだけれど、いつもと違うのは光が当たらないと言う事。
光を好む蝶が光を拒むと言う事は、やはり闇の住人である証拠だ。