神恋~水神様に恋をした~


私を地面へと投げ倒す。

(な、何て雑な…)

風邪である今、抵抗する事も出来ず、ましてや起き上がろう何て気力もほとんど無かった。


「ここは、あやつには見つけられない。」


白の事を言ってるんだろうな。
なぜ、見つける事が出来ないか。

それは、私も何となくは気付いていた。


「今のお前には、匂いと言うものがついておらんからだ。

なんだ、お前。体調が良くないのか。
それはそれは、嬉しいことだ。」


風邪の私は、体力がない。
つまり、白の匂いを留まらせる力も今は備わっていない状態で。

簪とか着物があればどうにか出来たかもしれないけど。


今の自分は無力だ。


「大人しく食われろ。」


ツクヨさんは、殺すような目で睨み付ける。

昔はあんなに綺麗だったのに。
< 61 / 249 >

この作品をシェア

pagetop