神恋~水神様に恋をした~
■第6章


朝の日の光が私に起きろと命令する。
眩しく、そして無駄に明るい。

白の看病もあってか、私の体は昨日より軽く、ダルさも抜けていた。

この世界に、時間と言うものは存在しない。

そもそも時間と言うものは、人間が物事をスムーズに進めるために作り上げた時を刻む“モノ”にしか過ぎない。


この世界にあるのは時間ではなく、物事の移り変わりだけだ。


(と、白の書物に書いてあった)


白の読む書物は理解が出来れば面白いけれど、私にとって気難しいものばかり。

本当に暇な時くらいに、こっそり白の書物を手にしては、読むくらい。


空はもう明るいけれど、どこかまだ暗い。


(朝は明けたばかり、か)


だからか、私の横では白が規則正しい寝息をたてていた。

妖怪は、歳もとらないし、死ぬこともない。

ましてや、風邪など無縁の話。

誰かに食されるか、殺される以外、死ぬ方法はない。


そう思うと、人間という寿命のある生き物は儚く美しいものだと思ったりする。

その限られた寿命で、悔いが残らぬように1日、1日を大切に過ごす。


人間が夜更かししてしまうのはそう言う理由かも知れない。

1日を楽しめなかった者は、本能的にその分を取り戻すために夜更かしをしているのかも知れない。


(ちょっと寒くなってきたな…、)


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