神恋~水神様に恋をした~
この妖怪はヤタガラスと言って、カラスの化身。
立派な護り神として人間界でも多くの人がこの妖怪を祀った神社へ参拝しに来る。
つまり、信仰の厚い妖怪と言うわけだ。
「君雪ちゃんでしょ!有名だからすぐに分かったよ!!」
今にも私が折れてしまいそうなくらい手加減なしに抱き締める彼は、正直めんどくさそうな奴だと感じだ。
一番、仲良くなりたくない者だ。
「これは運命だ!すぐに結婚しよう!」
意味の分からない事を先程から叫ぶヤタガラスは乙すぎて呆れてしまう。
「は、離してよ…!!」
「イヤだ!」
「この大事な羽引っこ抜くよ…!!」
この一言でヤタガラスはやっと私を離してくれた。
「ゆ、雪ちゃん酷いよ~…、」
目を潤ませて代わりに私の手を握る彼をどう対処して良いのか分からない。
「朝から騒がしいぞ、ヤタガラス。」