神恋~水神様に恋をした~
お昼頃、出かけて行く白の姿が目に入った。
さすがに黒ちゃんがいるとはいえ、何も言わずにどこかへ行ってしまう事に少なからず“孤独”を感じてしまう。
2階の窓から白を見下ろしながらボーッとそんな事を考えていた。
(あ、目合っちゃった…、)
「お前も来るか。」
一緒に行くことを誘われたこの時の私は、黒ちゃんを抱っこして信じられないスピードで階段をかけ下りた。
今までこんな事一切なかったのに珍しい。
だけどとっても嬉しい。
(白とデートだ~)
何て一人でそんな妄想を作り上げる。
さっきお散歩したばかりで疲れているのか、黒ちゃんは私の頭の上でひと休み状態。
腕を組ながらスタスタと歩く白に置いてかれないように付いていく。
普段何も喋らないで歩いているから、逆に会話がある方が珍しい。
と言っても、これといって会話をしているわけではない。
代わりに、下駄が地面と擦れ合うあの独特な音だけが二人の静寂に響く。