神恋~水神様に恋をした~
女の子の体には似合わない大きな番傘を引きずりながら、私の所までフラフラと近付いてくる。
「小娘、お前に力はやれない。去れ。」
いつ来たのか分からない白は子供にも容赦がない。
彼が感じている気配は、何となく私にも伝わってくる。
(この子を支配しているのは負の感情)
だから白はあんなことを言ったんだと思う。
私がいると力を持っていかれてしまうから。
この子を支配しているのは負の感情だけれど、まだ不完全なものだと思った。
支配されていると言うより、“されかけている”と言う表現が一番適当だろうか。
苦しそうにする姿を放っておくことが出来なかった私は、ゆっくりとその女の子を撫でる。
楽なような、気持ちが良いようなそんな表情を見せる。
「私、この子を助けたい。」
その言葉に反応する者はいない。
だって、闇の者になってもおかしくない状態の子をどうやって一人で助けるのか。
そんな雰囲気だった。
だけど白は違った。
「低級だ、特別危険と言うわけではない。お前だけでじゅうぶんだろう。」
2階へ上がる彼は、何かを期待しているようだった。
一人でじゅうぶんだと言っていたと言う事は、私だけでも救えるかも知れないって事。
あの目は、何かを試しているようだった。
(私に救う事が出来たら、)
「私があなたを助けてあげる。」