神恋~水神様に恋をした~
腕に残る傷から伝わる痛く悲しい記憶。
親友であるルイくんは妖怪によって殺されてしまった。
殺すつもりはなかったのに、蹴っていたら、殴っていたら死んでしまっていた。
(そんな言い訳で済むはずがない)
涙が頬を伝う。
サラちゃんが、どれだけ辛かったか。
どれだけ長い間悲しみ嘆いていたか。
大切な人を失う気持ちがどれだけ苦しい事か。
サラちゃんは、過去の出来事に縛られ過ぎている。
楽にしなくちゃいけない。
ううん、楽になるべきなんだ。
「サラちゃんは、ルイくんと親友だったんだね。
辛かったね、苦しかったね。」
感情を慰めてあげなきゃいけない。
「ルイくんは、サラちゃんの事いつも助けてくれてたよね。かっこよかったよね。
何も出来ないって悲しむんじゃなくて、感謝の気持ちを持つんだよ。
ルイくんは、サラちゃんのそんな姿望んでないよ。
ルイくんはね、いつか雨を降らせる事が出来たら一緒に遊びたいって思ってた。
サラちゃんの降らす雨はきっと綺麗だねって。」
サラちゃんが聞こえていなかったルイくんの本音を教えてあげなきゃいけない。