神恋~水神様に恋をした~
「ルイくんは、笑顔でいてほしいって思ってた。
サラちゃんが笑顔でいれば、自然と雨は降るって言ってたよ。」
ルイくんの本音を、死んでしまっても尚、どういうサラちゃんでいてほしいと思っていたのか教えてあげなきゃいけない。
ここまで誘導してあげたら、優しく投げかける。
苦しみから解き放ってあげるんだ。
「過去の事は忘れて、前だけ向けば良い。
ルイくんのことは、たまに思い出すくらいで大丈夫だから。
泣く姿よりも笑った顔が一番似合うよ。
昔の事も、許してあげて。
もう自分を責めないで、受け入れてあげても良いんじゃないかな?」
瞬間に、光る番傘。震える手でそれを握ったサラちゃんは、
(……雨だ)
雨を降らした。解き放てた。負の感情を取り払えた。
「お姉ちゃんありがとう、今度は遊びに来るね!」
雨を降らせながら空を飛ぶサラちゃんは満面の笑みだった。
きっとルイくんも、喜んでるね。
彼の言う通り、サラちゃんの降らす雨は嫌みがなく気持ちの良いものだった。
とても綺麗だった。