神恋~水神様に恋をした~
嫌な夢だと感じた。
(私は白に何をしようとしたんだろう…)
右手には、何かを持っていた気がする。
(あれ、眩しい…?)
目を覚ますとそこは縁側で。
昨日、月を眺めながらあのまま寝てしまったんだと気づいた。
寒いと感じなかったのは、きっと私の体にかかっているこの白い羽織のせい。
私のより全然大きいし、それにこの色は、
(白の羽織だ…)
まぎれもなく白の羽織だった。
わざわざかけてくれたんだ。
どうしようもなく、泣きたい気分になった。
好きだと思うこの気持ちを抑えるのはとても辛い。
この気持ちを思いきり白に伝えられたらスッキリするのに。
それすらも出来ない私の胸はドキドキと高鳴るくせにどこか切ない。
屋敷に白の姿はなかった。
朝は忙しく、居ないことの方が多い。
今じゃそれはもう当たり前になっている。
「雪ちゃん!ちょっと頼み事!」