ワケあって、イケメン先生と同居始めます。
教室に入ると、黒板の前に女子の塊があった。


「何や、あれは?」


「分かんない。何だろうね…。」


キャーキャー騒いでいる女子の先には、白衣の大人の男の人がいた。


「やっぱり…」


あんな人だかりを作れるのはあの人しかいないか。


前なら、女の子に囲まれる先生を見て、『大変だな』とか、『かっこいいな』って思うだけだったけど、今は…


「いやだよ…」


濁った、とても綺麗とは言えない感情が私の心を掠めていった。


輪の中に優と鈴もいたけど、とても混ざっていけるような気分ではない。


「千音?どした。」


「何でもないよ。」


春空に呼ばれて、はっと気がついた。


「何でもないって顔やないけど…。」


「大丈夫。ほんとに何も無いから。」





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