チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
あたしは深く息を吸ってから、大きく伸びをした。それから立ち上がって、甘いにおいが鼻をかすめてきたのでその場所に誘われるように足を進めることにしたんだ。
学校の外は校門までの道しか歩いたことがないけど、においがした先はだいたい予想がつくから足は止めなかった。
「……やっぱりそうだ」
予想していた通り、着いた先は調理室だった。
一箇所だけ空気の入れ替えでなのか窓が開いている。
きっとここからにおいがさっきの場所までしてきたんだ。
中は満員に近いほどたくさんの生徒たちが夢中になってケーキを作っていて。
きっとこの人たちはみんなケーキコンテストに参加する人なんだ。
「あっ……」
よく目を凝らすと苺子ちゃんやルイくん、尚くんの姿もあった。
みんな真剣な目で、ケーキの完成に力を入れていてあたしが覗いてることにも気づいてなさそう。