チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
自分の練習を後回しにしても、あたしの理解が遅くて同じことを何度もやって見せてくれた。
それがみんなにも当たり前だと思ってたのに。
「俺にもよく分からないけど、きっとそこまでするってことは未桜ちゃんに何かを期待してるんだろうな。
それはもしかしたら未桜ちゃんも自覚してないことかもしれない」
「期待…?」
あたしに?こんなお菓子も作れない、魔法も使えない、この世界に場違いすぎるあたしが?
「いいんだよ、今はそれで。時期が来れば分かるんだから。
それに今やることは一つしかないでしょ?」
おいでと言って、尚くんはあたしに手を差し伸べてくれた。