チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
何も言わずにあたしからスプーンを受け取った翔斗。
翔斗は一瞬だけそのクリームを見ると、口の中に含んだ。
「…………。」
クリームは口の中に入れたらすぐ溶けてしまうから、すぐに言ってくれてもいいのに
……翔斗は何も言ってくれない。
やっぱりだめ?あたし、せっかくつきっきりで教えてくれた尚くんの大事な時間を無駄にしちゃった?
それだけはどうしても避けたかったのに。
ライバルなのに逃げ出してきたあたしを思ってこんなに良くしてくれたのに。
あたしにはお菓子の技術はやっぱり皆無なのかな?
なかなか言ってくれない翔斗に怖くなったあたしは両手を握りしめて、目をぎゅっと瞑ると
周りの作業する音を聞きながらただただ結果を待った。