チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
もう人にじろじろ不審に見られるのも嫌で、あたしは俯きながら門を出た。
足は動いてるけど、行く場所が決まってる訳じゃないから一歩が小さくなって
下を向いてるから地面しか目に映らない。
だけど、目の前にだんだん足を止めた靴が見えて『よけなきゃ!』と思った時には聞いたことがある声が降ってきたんだ。
「なんでキミが……?」
声を掛けられてゆっくり顔を上げると、そこに立っていたのは。
「……なんでケーキ屋さんの人がここにいるの?」
店長さんに今日洋菓子の修行で発ったという翔斗さんが目の前にいたんだ。
彼はお店にいるわけではないから今はコックコートではなく、さっきも見た制服にローブ姿だった。