チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
「え、ちょっ、えっ」
「…………。」
頭が大混乱中のあたしに対して、無言であたしをもっと強く抱きしめてくる。
なんで、なんでこんな状況になってるの?
「とりあえず電気…」
あたしは抱き締められたまま、後ろ手でひたすらスイッチの場所を探す。
「無駄だから。押してもつかなくした」
あっ、このいつも聞いている声は翔斗だ。考えてみればこの香りだって……。
「何でそんなことを……」
「今は絶対にこんな情けない顔見られたくない」
翔斗の速いペースの心臓の音が聞こえてくる。てことはあたしのももちろん翔斗に聞かれてるよね。
なんだかとても恥ずかしい気持ちになってきた。
こんな暗いし、腕の中に閉じ込められたらどうすればいいのかも分からないよ。