チョコレートプリンス*きみだけをずっと*



翔斗さんは制服の袖を捲って、腕時計を見た。



そしていきなりハっとした顔をすると、あたしの右手をぎゅっと握って「走るぞ」と言ってどこかに向かって走り出した。



あたしは訳が分からないまま、翔斗さんに手を引かれながら走る。



それはもう風になったかのように、速く、速く。



周りの人たちはびっくりしながらも道を作って退いてくれたりして。



木々で囲まれた道を抜けて、お店がたくさん並ぶ街を抜けて……。



そして少し遠くに現れたのは大きな、大きな扉だった。



そのドアはあたしたちが近づくたびに少しずつ閉じられていって



時計台からはキーンコーンと何時かを示すベルが鳴り始めた。



「ちょっと待ってください!」



翔斗さんは扉を閉めている大きな人に向かって叫んだ。



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