チョコレートプリンス*きみだけをずっと*



「僕は“初恋”というテーマを聞いた時に、正直自分の恋愛を思い返しても何も浮かんできませんでした。



なので、パティシエになりたいと思った時のことを思い出して



初めて“こんなケーキを作れるようになりたい”とビビッと感じたケーキを



俺にとっての初恋として考え、このケーキを作りました」



尚くんの作ったケーキはオペラというケーキだった。



表面のチョコレートはテンパリングしたからとってもつやつや、キラキラしている。



ケーキはスポンジ・ガナッシュ・バタークリームなどが幾層にも重なり合ったもの。



そして翔斗は小さい声で重なり合った味のハーモニーを、重なり合った音のハーモニーである「オペラ」になぞらえたのが由来だと教えてくれた。



審査員の先生たちはケーキを受け取ると、尚くんから少し離れたところで話しているみたいだった。



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