チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
Recette4
王子の初恋はお菓子な?世界で。
急に叫び声も動揺する声も聞こえなくなった。
目を開けると、この空間には翔斗とあたしと尚くんしかいなくて……。
あたしを覆うように抱き締めてくれた翔斗はゆっくりと離した。
「未桜、大丈夫か?」
声を掛けてくれた翔斗の言葉にコクンと頷いた。
尚くんはあたしたちの目の前にいるけれど、少し離れたところにいる。
「未桜ちゃん、ごめんね。
約束は守ってくれたけど、優勝できなかったから翔斗が死ぬまでやるよ」
尚くんは持っていた杖をあたしたちの方向に向けた。
「そんな!尚くんやめて!」
もう尚くんの目はいつもの優しい目じゃない。
氷のように冷たい冷たい目をしている。
「未桜は俺の背中に隠れてろ、絶対に出てくるなよ」
そう言って翔斗は杖を構えて、あたしを背後に隠した。