チョコレートプリンス*きみだけをずっと*



「え、なんで、翔斗は何も悪くないよ」



どうして翔斗が謝ってきたのか分からなかった。



彼はあたしの言葉に首を横に振って否定する。




「すべての発端は尚が俺のこと憎んでいたのを知らずに



信頼して俺が『未桜のことが好き』だって言ったから



こんな事が大きくなってしまったんだ。



きっと、未桜は先輩に失恋してケーキ屋に来て友達に慰めてもらった覚えしかないだろうけどさ。



あのパティスリーで修行して、初めて一から作ったケーキはクリスマスに作ったブッシュドノエルだけど



本当に初めて一部分だけやらせてもらって客に出してもらえたのは未桜が失恋した日に作った苺のショートケーキだったんだよ。



全然その日売れなくて、そわそわしてて俺も一緒に作ったのがバレて売れないのかと思ったら



ひとしきり泣いた後に『ケーキを食べる』って急に未桜が言い出して」



懐かしそうにしながら翔斗は話を続けた。



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