チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
「その持ってる箱貸して」
あたしは言われた瞬間、渡すどころか箱を後ろに隠した。
「……絶対だめ。最初は大事に持ってたけど、途中から走ったりしたから形崩れてるから」
翔斗が作ったかどうかまでは分からないけど、それでもお店の人には変わりない。
せっかく作ったケーキが悲惨な姿になってたら絶対ショックをうけるに決まってる。
バタンとドアを閉めてしまおうかと思った。だけど、翔斗の目がそれを許してはくれない。
「知ってる。だから貸せ」
「だめだって!あとで一人で食べるから……」
「いいんだよ、そんなことしなくて。何があってもこうやって持ち続けてくれたことに意味があるんだから。
途中で置いてきたら、誰にも食べてもらえずに終わるとこ「そんなこと絶対にしないよ!」」
「分かってる。
……そのケーキさ、俺が初めて販売許可してもらったケーキなんだ」
え、このケーキが?