チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
頭痛がどんどん激しくなっていく。
いたい、いたい。
これがあの人が言ってた“魔法はかけてある”ってことだったんだ。
今更気づいてもしょうがいないけど、言わなければよかったって後悔する。
でも、もう痛いことしか考えられない。
すると、みんなはあたしを取り囲んで心配してくれる中で、翔斗は立ち上がってどこかに行ってしまった。
いつになったらこの痛みが和らぐんだろう。
もう言わないから、お願いだからこの痛みが止まって…。
俯きながら必死に痛みに耐えていると、「口開けて」という翔斗の声が聞こえた。
「え……なんで」
顔を上げて、翔斗の方に振り向くと、有無を言わさずに……
翔斗に何かを口の中に入れられた。
その時に一瞬だけ翔斗の指があたしの唇に触れてドキっとした。
そんなドキっとする余裕もあるくらい、口の中に何かが入った途端、その甘い何かと一緒に今までの痛みが嘘のようにサーっと消えて行った。
「……あれ?もう痛くない?」
顔を上げると、翔斗は「はぁー」っとため息を吐いていた。
でも彼の表情はさっきと比べて明らかに堅くなってる。
「未桜ちゃん!大丈夫?」
「もう痛くない?」
「急に様子がおかしくなっちゃったから心配したよ!」
周りのみんなも心配して次々に声を掛けてくれて、ホッとすると涙がこぼれそうになった。