チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
「……今の何だったの?」
なんか小さいころによく食べたような……。
「あれは痛みを止める魔法薬。見た目も味もラムネだっただろ?」
確かに。あれはラムネの味がした薬だったんだ。
すごい、苦くないあんな甘い薬なんてあるんだね。
あたしはコクンと頷いた。
「……心配かけてごめんなさい、あたしがここに来た理由は」
「未桜、言わなくていい。大体分かったから」
ここに連れて来られた人に魔法をかけられて言えないって言おうとしたら翔斗が口を挟んできた。
「未桜ちゃん、ごめんね?まさかここに来た経緯を言えないように魔法をかけられてるなんて思いもしなかったから…」
尚くんは罰が悪そうな表情で何度も謝ってくる。
それをあたしは横に首を振って「忘れてた自分もいけないし、大丈夫だよ」と返した。
あの人の言ってたことが一つ、現実になってしまった。
もう一つ言ってた、"そしてお前は元の世界に戻れることはない。"
これも現実になってしまうのだろうか。