チョコレートプリンス*きみだけをずっと*
連れて行かれた先はまさかの外だった。
なんで?なんで?寮でお菓子の特訓するんじゃなかったの?
「今日から毎日5キロランニング。外周1キロだから、つまり5周すること。
まずは体力づくりからだ。今すぐ走るぞ。
制限時間守れなかったら、特訓1時間延長」
よーいスタートと当たり前のように言うと、翔斗は先に走って行ってしまった。
「え、嘘!こんなコックコートじゃ走れないよ!」
「…………」
絶対聞こえないふりしてる!結構大きめで言ったのに!
お菓子になんでこんな体力づくりが必要なの?
あっ!もしかしてあたしがまたなんでって聞こうとしたから先に走っていったんだ。
もうなんでこんな翔斗のペースになってるのーー!
あたしはここにパティシエになりたくて来てる訳じゃないのに!
でもそんなこと言ったって誰も相手にしてくれる人はいない。
「はぁ……」
だったらもういっそう、ここで踏ん切りをつけて、「帰りたい」って気持ちを忘れるためにも翔斗についていこうと決めた。