2択に1つの恋愛
すると、もうすぐ時間だということで私と春は自分の席に着く。
男女別の名簿番号順の席になっているけれど、隣の人はたいしてイケメンなわけではない。(酷いよね)
「藤森さんってさ、元気な人だよね」
「・・・はい!?」
その人の事をなんとなく見つめていると、彼は私に向かってそう言ってきた。
ボーっとしてたので、なんだか声が裏返ってしまって恥ずかしい。
「あは。昨日から話したかったんだけどさ、放課後はすぐに帰っちゃったじゃん?」
「うん。カラオケ行ってたんだよね」
「うわ。高校生になったからだよね。俺もいけばよかったかな~」
「会えたかもしれないよね(笑)」
この人はイケメンという感じではなく、可愛いのだ。
身長は普通なのに、童顔だからちょっと年齢に迷ってしまう。
「入学式早々寝てるから度胸あるなーとも思ったし――もしかして、授業中も寝てるタイプ!?」
「まさか!」
私は慌てて否定した。
最初から悪い印象はつけたくないし・・・というか、寝てたの見られてたんだ・・・(笑)
「俺は寝てるタイプだから、先生には言わんといてーな」
「なんで急に方言になるんーや」
「使い方違うよ?」
「細かいことを気にするとモテないよ?」
「うわっ。厳しいな~」
「あっはっは」
どうやらいい人らしい。
面白いし、幸先いいかもしれない。